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《14》
教室に戻った瞬間。
俺はクラスの女子に取り囲まれた。
その瞬間、教室に戻ってくるんじゃなかったと激しく後悔した。
考えてみれば、女子達の憧れの良次とお付き合いをしているなんてバレたのだから、ただで済む筈が無かったと内心頭を抱える。
正直、不良グループに取り囲まれるよりも遙かに怖い。
普段は喧嘩で負けた事の無い俺のカンが、この戦いには勝てないと頭の中で警笛を鳴らしている。
俺は、覚悟を決め、負け戦に臨む腹を括った。
けれど、掛けられた言葉は予想外のものだった。
「ねぇ、ねぇ!小野部くんって大和くんと付き合ってるの!?」
「………………ま、まぁ」
もうバレてるんだから否定しても仕方ないと思い、頷くと。
ワッと女子のテンションが上がる。
「大和君、小野部君と付き合ってたんだ!」
「通りで学校の女子誰とも付き合わない筈だよね!」
いや、学校では猫被ってただけで、少し前まではすげぇ女関係派手そうだったけど…。
学校では彼女作らないって徹底してんな。
「やっぱり小野部君がタチなんでしょ!?」
「………あ、た、タチ………?」
急に詰め寄られ、聞き慣れない言葉に俺は思わず聞き返した。
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