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《15》

「タチって何だ………?」 「えー!?小野部君、大和君と付き合ってるのに知らないの!?」 信じられないという表情をする女子に、何だか知らないが申し訳ない気持ちになる。 「………う、わ、悪い。そういうの、分からなくて…。その、たまたま好きになったのが、良次だっただけで、そういうの疎くて…」 何故か、キャアーっと女子達が色めき立つ。 「素敵ぃ~!」 「大和君カッコいいし美人だもんね!そりゃノンケでも好きになっちゃうよね!」 「あ、ああ…」 確かに良次は美形だけど、それだけで好きになった訳じゃないんだけど…。 今ここでそんな事を言っても仕方ないので、曖昧に頷くけれど、女の子達はその反応がお気に召したらしい。 「男役と女役があって、タチっていうのが男役だよ!」 「は、はぁ…、男役に女役ね…」 生々しい言葉にヒクリと口元がひくつく。 こういう話って、普通こんなにツッコんで聞いてくるものか? クラスの女子と会話をした経験の無い俺には分からない。 だけど、要はどっちが彼氏で彼女なのか…。 そういう類の質問をされているらしい。 男同士で男も女も無いだろう。 両方男なんだから。 だが、キラキラと期待に満ちた目をしている彼女達にそう言う勇気は俺には無かった。

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