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《11》
王子様が、俺のフードをそっと捲る。
王子様を見上げると、王子様は大きく目を見開いた。
フードを捲ったまま、王子様の顔がみるみるうちに赤くなっていく。
不思議に思って首を傾げると、急に王子様が俺の手を握る。
「ねぇ、僕のお嫁さんにならない?」
「お嫁さん?」
「結婚したら、毎日一緒に遊べるし、お菓子が好きなら、沢山食べさせてあげる」
結婚、その意味なら知っている。
好きな人同士がずっと仲良く一緒にいるって約束する事だ。
男同士では結婚ができないなんて、その時は知らなかったから、俺は何度も何度も頷いた。
結婚したら、毎日この綺麗な王子様と一緒にいられる。
だって、お母さんが読んでくれる物語は、どれも王子様といつまでも幸せに暮らしましたで終わるから。
毎日、綺麗な王子様と一緒に甘いお菓子を食べて、一緒に遊んで暮らせたら、なんて幸せなんだろう。
俺は凄い嬉しくて、王子様の周りをぴょんぴょん跳ねた。
だけど、すぐに不安になって尋ねる。
「お母しゃんも一緒に連れてって良い?」
もし、自分が王子様と暮らしたら、二人で暮らしてるお母さんが一人ぼっちになってしまう。
俺も母さんと離れて暮らすなんて考えられない。
辿々しくそれを説明すると、王子様はすぐに良いよと言ってくれて、俺は益々王子様の事が好きになった。
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