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《15》

結局次の日も、良次の態度は変わらなかった。 俺は何故良次がそこまで怒っているのか分からないまま、休憩時間空き教育で優と志水に相談していた。 自分の悪かった所を知って、ちゃんと良次に許して貰いたかった。 だけど、優から返ってきた言葉は予想外のものだった。 「そりゃ、良次が悪いだろ」 「え?」 「大人気ねぇなぁ~、ガキの頃の初恋の話だろ?」 「う、うん」 「そんな昔の話で機嫌損ねるなんて、んな女々しい奴だっけ、アイツ?恋愛に関してももっとクールじゃなかった?」 優が志水に向かって聞くと、志水は肩を竦めてみせる。 「きっとお姫様が特別なんだよ。お姫様相手だとうまく自分の感情がコントロール出来なくて、良次も戸惑ってるんだと思うよ」 「戸惑ってる?」 「そう、お姫様の昔の思い人に嫉妬してるんだ。だけど、そんな事で感情的になるなんてプライドが許さなくて、良次も葛藤してる最中なんだと思うよ」 志水の言葉に、優が溜息を吐く。 「面倒くさぁ…、そんなんで振り回されて小野部が可哀想だろ」 「恋愛なんてそんなもんだろ?」 「はいはい、どうせ俺は恋愛経験が乏しいですよー」 優と志水のやり取りを聞きながら、俺は首を捻る。 「どうしたら、機嫌直してくれるかな…」 「案外簡単だと思うよ」 そう言い放った志水の言葉に、俺は驚いて目を見開いた。

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