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《17》
「もし、その王子様とやらが現れたら、良次とどっちを選ぶんだよ?」
「は、はぁ!?」
優のとんでもない発言に、思わず椅子から転げ落ちそうになる。
「いや、だって結婚の約束してたんだろ?もしかしたら、その約束向こうは覚えてるかもしれねぇじゃねぇか?」
何とか留まった俺に構わず、優は続ける。
「小野部の事迎えに来るかもしれねぇだろ?そん時どっちを選ぶのかなーって」
「いや、ありえねぇだろ!第一、ガキの頃の約束なんて…」
「そのガキの頃の約束を、小野部は覚えてた訳でしょ?」
「…………え?」
「だから、良次は怒ってんだよ」
優の言葉に俺は息を飲んだ。
「そんなガキの頃の約束を交わした王子様が、まだ小野部の心の中にいるって事に気が狂いそうな位嫉妬してるんじゃねぇの?良次は」
「そんなの…、俺はこの間まで忘れてた位で…」
「でも良次と、男と付き合って思い出した訳だろ?」
「………」
「生まれて初めて嫉妬してんだろ。内心ソイツが現れたらって気が気じゃねぇんじゃねぇの?」
「そんな…」
「俺はどっちでも良いんだけどな。小野部が幸せなら」
「……え」
「ま、親友としては良次には幸せになって欲しいって思ってるけどね」
そう言って優は笑った。
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