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《20》

「思ってた以上に自覚が無いんだね…」 「じ、自覚…?」 「そう、お姫様が有名人だって自覚」 ゆ、有名人の自覚…って、そんなモノある筈が無い。 自分は至って平凡な高校生のつもりだ。 ………まぁ、悪目立ちしているとは思うけれど。 「俺は…、志水が言うような大層なもんじゃねぇ」 「ふふ、謙虚なんだね」 「………あのなぁ」 文句を言いかけて、俺は諦めて溜息を吐いた。 何を言っても無駄らしい。 「…そういやぁ、志水って良次と付き合い長いんだよな?」 「そうだね、俺が小学生に上がったばかりで、良次が幼稚園にまだ通っていた頃からだから、もうかれこれ10年以上の付き合いになるかな」 「へぇ…」 幼稚園時代の良次か…。 今も、あれ程イケメンなのだから、幼稚園の頃の良次は嘸かし可愛かったに違いない。 志水だって、きっと子供の頃から美少年だっただろう。 「アンタ達美少年二人が並んでたら、さぞ持て囃されたろうな」 「はは、良次はともかく、俺は子供の頃はいじめられっ子だったよ」 「え!?」 意外な志水の言葉に、俺は驚いて思わず声を上げた。

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