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《21》
「志水が?」
あまりにも意外な言葉に、思わず志水の顔を凝視する。
正直、志水が虐められていたなんて想像がつかない。
「子供の頃の話だけどね。俺はこんな容姿だから…」
「え!?何でだ…?」
ますます訳が分からず、俺は首を傾げる。
志水の様に絵に描いた様な美少年等、そういるもんじゃない。
改めてマジマジと志水を見つめるけれど、光に溶けそうな金糸の髪に、青い瞳。
まるで作り物の様に綺麗な顔にやや細身だけど均整の取れた、モデルの様な体型は欠点なんて一つも見当たらない。
「志水みたいな美人が、何で容姿が原因で虐められるんだ?」
「美人…?」
俺の言葉に、何故だか志水はポカンと俺を見つめる。
言葉を失った志水に、しまったと思う。
つい本音が口から出てしまったけれど、いくら何でも男に美人はまずかったかもしれない。
「あ、いや!悪い!」
慌てて謝ると、急に志水が笑い出す。
「お姫様に、そんな風に思われてるなんてね」
「気ぃ、悪くしたか…?本当に悪い…」
「全然、寧ろ嬉しいよ。ありがとう、お姫様」
「いや…」
礼を言われる様な事は言ってないけれど、とりあえず志水が気を悪くしていない様だったから、ほっと胸をなで下ろす。
「子供って素直だからね。僕みたいな容姿の人間は、きっと皆とは違って見えたんだろうね。よく宇宙人ってからかわれたよ」
「そんな…」
「どうしても仲間に入れて貰いたくてね、その頃両親に頼んで髪を黒く染めさせて貰ったり、子供ながらに色々足掻いたなぁ」
そう言って、志水は懐かしそうに目を細めた。
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