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《23》
「良次と俺って、やっぱり不釣り合いだな…」
優等生の学園の王子様が偽りの姿だったとしても、結局本当の良次も俺様だけれど、常に大勢の仲間に囲まれて頼りにされている。
恋人である俺にも優しくしてくれる。
本当は分かっていた。
自分は良次の隣りに居るには、余りにも釣り合わないんじゃないかって…。
ずっと一人で、何処に居ても浮いていた様な自分と、人気者の良次とは住む世界がまるで違う。
第三者の口から良次の話を聞いてしまうと、その思いが大きく膨れあがった気がした。
「そんな事、全然ないよ」
「え…?」
「お姫様は自己評価が低いんだね。最強の一匹狼が、こんなに謙虚だなんて意外だな」
「謙虚って…」
志水の言葉に戸惑う。
志水はどうあっても、俺を持ち上げる気でいるらしい。
「前にも言ったと思うけど、お姫様が現れるまで、良次は何時だって沈着冷静で、恋愛で一喜一憂したり、舞い上がったりする様なタイプじゃなかったんだ。それが、お姫様が現れてから、随分と表情豊かになったと思う。そんな良次を引き出せるのは、きっとお姫様しか居ないよ」
「志水…」
「仲間の中には、そんな良次に戸惑っている人間もいるけれど、少なくとも俺や優は喜ばしく思ってるよ」
「俺…、良次の傍に居ても良いのかな…」
「ふふ、当たり前だろ?お互い好きなんだから。それに、俺はお姫様の味方だよ。何か困った事があれば、何でも言って」
「志水………、ありがとう………」
志水の優しさに泣いてしまいそうだった。
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