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《24》

「そういえば、お姫様は甘い物好きだったよね」 「好きだけど…」 「じゃあ、これあげるよ。手を出して」 「?」 何だろうと首を傾げる。 俺は、志水に言われるがまま、掌を差し出した。 「大した物じゃないんだ。ただのお菓子だよ。だけど、悲しい時は少しだけ元気になれるだろう?」 「志水…」 「俺も割と甘い物が好きでね。疲れた時によく食べるんだ」 言いながら、志水は俺の掌に幾つかのお菓子を乗せてくれる。 志水が俺を元気づけてくれようとしているのが伝わってくる。 「ありがとう、志水…」 「ふふ、どう致しまして。そういえば、例の王子様って凄い美少年だったよね?」 「そう、線が細くて…、丁度…」 不意に、貰ったチョコレートに視線を落とした俺は、続く言葉を忘れてしまった。 掌の上の、チョコレート。 この綺麗なチョコレートには見覚えがある。 子供の頃に貰った綺麗な包み紙に包装されたキャンディ型のチョコレートと全く同じ物だった。 何故、志水がこのチョコレートを持っているのだろう? だって、同じチョコレートをスーパーやコンビニで見た事が無い。 ハッと志水を凝視する。 そう、王子様も志水みたいに綺麗な中性的な顔だった。

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