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《30》

「志水、俺のガキの頃の話しただろ?」 「うん」 「子供の頃、助けてくれたやつに、志水から貰ったチョコレートと、同じものを貰ったんだ…」 言い終えると同時に、志水が、一瞬だけ悲しげに笑った様な気がした。 「お姫様…、もし、その思い出の王子様が、俺だって言ったら、良次じゃなくて俺を選んでくれる?」 「…!?」 驚いて志水の顔を凝視する。 やっぱり志水があの時の王子様だったのかと思うと同時に、志水からの突然の告白にひっくり返りそうな位驚く。 志水が思い出の王子様なのかもしれないと思ってはいたけれど、まさかこんな告白をされるなんて心の準備はできていない。 もしかしたら冗談を言って、俺をからかっているのだろうか? だけど、見つめた志水の顔は、驚くほどに真剣だった。 「ずっと、好きだった…。あの日から、ずっと…、会いたいって思ってた」 真っ直ぐに見つめられて、俺は息を呑んだ。

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