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《40》
「くっ、くくっ、はははははっ…!」
突然、おじさんが笑い出す。
俺は、何が起こったのか分からずに、呆然とおじさんを見つめた。
おじさんが、…………壊れた。
もしかしたら、ショックでおじさんがおかしくなってしまったのではないかと、血の気が引く。
一頻り笑った後、おじさんは俺達に向き直った。
「はー、腹いてぇ。噂を聞いた時には、まさかとは思ったがな。マジで付き合ってるとはな」
「う、噂?」
「小野部と大和がデキてるって学校中の噂だぞ、お前ら。一体学校で何やらかしたんだ?」
そ、
そ、そうだったー!!
俺達が付き合ってるって、上級生にまで噂が届く位に学校中に広まってたんだった!
おじさんが噂を聞いてしまったとしても、なんら不思議はない。
「何でそんな噂が広がってんのかお前らに確認しようと思って来てみたら、敷地内とはいえ、外でいちゃついてるしな。そんな所に遭遇した俺の気持ちが分かるか?流石の俺も、なんて切り出すか悩んだぞ」
「う………」
「良次」
急に、おじさんが真剣な顔で良次に向き合う。
「お前ら二人が一緒になるって道程は、言うほど平坦じゃねぇぞ」
「はい」
「ジジィや親族連中は俺みたいには簡単にいかないし、世間の目や家の事もある。これから先、お前が思ってるより、ずっと辛い現実が待ってる。それでも、決意は変わらないか?」
「覚悟してます」
「お前と利久の間に何があってもか?」
「はい」
「…なら、俺から言う事は何もない」
そう言うと、おじさんは今度は俺の方を向く。
「利久、お前はどうだ?」
「お、俺は…」
良次はどんな問題が起こるのか、大体分かっているみたいだったけど、正直、俺にはこれからどんな難しい問題が待っているのかなんて、予想がつかない。
だけど、自分の気持ち位は分かる。
「俺は、良次とずっと一緒にいたい」
そう言えば、おじさんは「そうか」と一言言って頷いた。
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