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可愛い狼の女の子《2》~良次視点~

怯えるその子を何とか安心させようと、できる限り優しく声を掛ける。 顔はよく見えなかったけれど、親戚や近所では見覚えのない子だ。 俺よりも小柄な子で、俺と同年代か少し下位に見えた。 泣いてばかりいるその子から唯一聞き出せたのは、ひーちゃんという名前だけだった。 「ひーちゃんっていうの?」 聞けば、ひーちゃんはコクリと頷いた。 けれど、ひーちゃんは一向に泣き止む気配が無く、俺は困り果てた。 ふと、自分の鞄にお菓子が入っていた事を思い出す。 泣いている子を泣き止ませるには、おもちゃかお菓子を与えれば大抵何とかなる事を、弟がいる俺はよく知っていた。 「ひーちゃん、甘い物は好き?」 泣きながらも何度も頷くその子に、俺は鞄からチョコレートを取り出した。 「手を出してごらん」 言えば素直にひーちゃんは手を差し出す。 そのひーちゃんの小さな手の平にチョコレートを一つ乗せた。 「う?」 不思議そうに首を傾げる仕草が可愛らしくて思わず笑ってしまう。 「ふふ、チョコレートは好き?」 俺が聞くと、パッとひーちゃんの表情が笑顔に変わる。 「ちょこれいと!」 ようやく泣き止んだひーちゃんに、俺は胸を撫で下ろした。 「お菓子が好きなんだね」 鞄の中のお菓子を取り出してひーちゃんの手の上に乗せていく度に、ひーちゃんの顔はキラキラと輝いていく。 俺もそれが可愛くて、鞄の中のお菓子を全部乗せ終わるとひーちゃんの下げていたポシェットに仕舞ってあげた。 一つだけ、チョコレートを綺麗な包み紙から取り出してひーちゃんの口の中に入れてあげる。 ひーちゃんは、両手で頬を押さえて幸せそうにチョコレートを頬ばっていた。

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