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淡い恋《2》~志水視点~

俺もまさか最初はあの最強の一匹狼の小野辺利久が、あの可愛らしい初恋の子だなんて思いもしなかった。 だけど、お姫様に相談をされた時、何だか頭に引っ掛かっていた。 その引っ掛かりが何であるのか確信したのは、お姫様がチョコレートについて尋ねてきた時だった。 あのチョコレートは、俺の父親が海外に出張にいく度に買ってきてくれる老舗のチョコレート専門店のチョコレートだった。 父親は毎回決まってお土産にこのチョコレートを俺の家と、そして、良次の家に買ってきてくれていた。 だから、お姫様が俺のあげたチョコレートについて尋ねてきた時、お姫様の初恋の相手が良次だと分かってしまった。 分かると同時に、俺の初恋の相手も、憧れの一匹狼小野部利久も、結局は良次のものだと知ってしまった。 それなのに、お姫様にこんなに想われているのに、お姫様を悲しませる良次がほんの少しだけ妬ましかった。 だから、少しだけ意地悪をした。 勿論、2人を仲直りさせるのが一番の目的ではあったけど。 一途なお姫様が、良次を選ぶ事なんて初めから分かっていた。 だから、良次が聞いている前であんな嘘を吐いた。 あれで良次がお姫様が初恋の相手だと思い出したかどうかは分からないけれど、お姫様の気持ちは良次に伝わっただろう。 「まぁ、もう2人は仲直りしてると思うけどね」 「あー…、今日2人が休んでるのって、そういう理由なー…。爛れてんなー…」 明日には、笑顔のお姫様に会えると嬉しい。 俺は初恋の思い出に付け足されたほろ苦い感情に、そっと蓋をした。

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