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懺悔
相原には構わず、志水は周囲に人がいないのを確認して良次に近付く。
「そういえば、相原から聞いてるとは思うけど、今日はお姫様は来ない方がいいかもしれない」
俺に対して申し訳なさそうに言う志水に首を傾げる。
「今日は、佐久間も来るんだ」
その名前に、思わず凍り付く。
佐久間。
俺が転校する前に、怪我をさせてしまったやつだ。
転校前、5、6人に絡まれた事があった。
他の奴らは手加減してやる事が出来た。
だけれど、その中の一人がなかなか強かった。
喧嘩にセンスがあるなんて言い方は、合っているのかどうか分からないけれど、そいつは今まで絡んできた奴らとは、明らかにレベルが違った。
だから、手加減してやる事が出来なかった。
思いっきり殴ってしまったから、その時に骨折して入院してしまったらしかった。
そいつが、まさか良次のグループの奴らだったなんて知らなかったし、まさかこういう形で自分のしてしまった事を突き付けられる形になるとは思わなかった。
「……そうだな、利久は佐久間に会わない方がいいだろう」
良次が神妙な面持ちでそう言った。
その良次の言葉に、考えるよりも先に俺の口は動いていた。
「俺、そいつに会いたい」
俺の言葉に、その場に居た全員が固まった。
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