251 / 346
《2》
メビウスの集会に参加すると言った俺は、メビウスの拠点の廃墟の一室に案内された。
外から見れば、人が近寄りがたい雰囲気に見えた廃墟の中は、所々修繕されていて、古そうではあるが家具なんかまで運び込まれていた。
高校生の溜まり場には十分すぎる設備だった。
その一番奥の部屋が、良次が使っている部屋なのだと、案内されながら教えてもらった。
案内された部屋には、ソファやベットまで置いてあって、秘密基地めいたソレに、ちょっとテンションが上がってしまった。
小さいながら、冷蔵庫やテレビなんかまで置いてある所を見ると、電気まで通っているらしい。
最初こそ、物珍しさにキョロキョロと周りを見回したり、ウロウロしていたが、時間が経つにつれ落ち着いてくる。
落ち着けば、徐々に佐久間に会う事を思い出して、緊張してきていた。
ソファに座って、俯いて息を吐く。
そんな俺の様子を見て、良次が俺の隣りに腰かけた。
「利久、無理しなくて良いんだよ?」
「無理、してねぇ」
低く、唸るように呟けば、良次が困った様に笑う。
「正直、俺も佐久間が退院してから会うのは初めてだし、怪我もまだ完治してないだろうしな。…俺は、利久と佐久間を会わせるのは、佐久間の怪我が治ってからで良いんじゃねぇかと思ってる。怪我してる時は、殺気立ったり、苛立ったりするもんだしな。まぁ、心配しなくても、利久に手出しさせるつもりはないけど」
「…………うん」
「…何で、急に行く気になったのか聞いていい?」
「…………ってぇ」
「……うん?」
「ちゃんと、本人に、怪我させてごめんなさいって、謝りてぇ」
俺の言葉に、良次が瞬きを繰り返す。
「じゃねぇと、申し訳なくて、良次のグループに居られねぇよ」
その、佐久間ってやつにも、良次にも、相原にもみんなにも、申し訳ないと思ってる。
許して貰えるなんて思ってないし、俺の単なる自己満足だっていうのも分かってる。
だけど、どうしても、じっとしている事が出来なかった。
ともだちにシェアしよう!