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《4》

「まぁ、小野部利久が、佐久間のグループ全員を一人で倒しちまったって聞いた時はもっと驚いたけどな」 「わっ!?」 急に身体を引き寄せられて、素っ頓狂な声が漏れる。 「それが、今は俺のもので、俺が好きにして良いってのは、…興奮するな」 良次の手がするりと俺の腰を撫でて、尻に下りていく。 「ばっ、ど、どこ触って…!?」 信じられない思いで良次を見れば、見上げる良次と視線がぶつかる。 ニヤリと挑発めいた笑みを浮かべて射貫いてくる良次の視線をまともに食らって、マズいと思う。 ゾワゾワと背筋を何かが這い上がって、それが体も頭も侵蝕していく。 まさか…、良次は今ココで俺の事を襲おうとしてるのか…? 不穏な予感にジワリと汗が滲む。 嘘…。 ダメだ…。 こんな所で…。 逃げようとする俺の体を、良次がソファに押し倒してくる。 「りょ…、やめっ、こ、こんな、所で…」 強い口調で言った。 つもりだった。 だけど、実際に口から出た言葉は情けないくらい、上擦って震えていた。 綺麗すぎる顔が、雄々しさとは程遠い顔が、 雄臭い表情で俺を見下ろしている。 「りょ…じぃ…」 また声が震える。 声だけじゃない、体も。 良次は、いつだって優しい。 恋人になってからは、口調だって、行動だって、まるで女の子を扱う様に、俺を甘やかしてくれる。 なのに、今日の良次は、まるで出会った頃の良次を彷彿とさせる。 俺を…、脅して、辱めてきた、あの時の良次に。 「…っ」 息を呑む。 何が、良次のスイッチを入れてしまったのだろう? メビウスの拠点である、この場所にいる所為か、はたまた、これから集会だからなのか。 いつもと様子の違う良次に、体が震えている。 怖いから…。 違う。 じゃあ、何か。 俺も…、そんな良次に。 ……興奮している。 その答えに辿り着いて、愕然とした。

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