274 / 346

《25》

半ば優に引き摺られる形で、集会が行われる広場まで連れてこられた俺は、遠目からもう既に全員集合してそうな場所を唸りながら睨む。 俺達の姿を見つけた志水が駆け寄ってきた。 「優、お姫様、丁度良いタイミングだったね。今、一通り今後の事についての話し合いは一段落した所だよ」 「あっそ。んじゃ、後でどうなったのか簡単で良いんで、報告よろしく~」 ひらひらと手を振る優の前に志水が居て。 その向こうに天皇寺の姿を発見して、ギクリと体が固まる。 「うう…」 天皇寺は相変わらず、俺の事を物凄い形相で睨んでいる。 その顔には、心底俺の事が嫌いだとはっきり書いてある。 あんな話を聞いた後では、余計にその事を意識してしまう。 志水に、中心にいる良次の所まで案内されている最中も、正直天皇寺が気になって生きた心地がしなかった。 「利久…、来たのか、無理しなくても良かったのに…」 恥ずかしいやら、恐ろしいやらで、顔色の悪い俺の顔を見て、良次が眉を顰める。 「…うん…、あんだけ行くって言っておいて、…流石にドタキャンはマズいかと思って」 本当は、無理したくなかったけど。 「利久、コイツが佐久間だ。佐久間には、もうお前の事は説明してある」 良次に言われて、俺は項垂れていた顔を上げた。

ともだちにシェアしよう!