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《28》

「と、とにかく、俺は舎弟とかそんなの困るからっ」 「良いじゃん、絶対役に立つって」 「いや、何で優がそんなにゴリ押ししてくんだよっ」 「そんなの面白そうだからに決まってんじゃん」 「………お前な…………」 完全に他人事の優を睨むが、佐久間も全く引き下がらない。 「お願いしますっ!兄貴!!絶対にお役に立ってみせるっす!」 「いや、だから役に立つ必要なんてないんだって…」 「まぁまぁ、小野部。お前、佐久間に怪我させて申し訳ないって思ってんだろ?」 「そ、それは勿論…」 「じゃあ、償いの意味でもさ、舎弟にしてやったら良いじゃん」 「どういう理屈なんだよ…!」 それとこれとは、話が全く違うだろう。 だけど、怪我の事を持ち出されると弱い俺は、困り果てて良次を見る。 俺の助けを訴える視線に、良次がやれやれと眉を顰める。 「まぁ、良いんじゃねぇか?佐久間は言いだしたら聞かねぇし、収拾つかねぇし。…天皇寺がよければだけどな」 「な…、何で、天皇寺………?」 今、一番触れたくない人物の名前に動揺する。 「天皇寺の所の副幹部だから、ソイツ。天皇寺が困らねぇなら好きにさせてやれよ」 いやいやいやいや。 そんなの、絶対困るじゃん。 そんで、気まずすぎる。 ソロリと天皇寺に視線を移すと、ギロリと音がしそうな程睨まれる。 いや、絶対天皇寺が許可する筈がない、そう思っていたんだけど…。 「……………勝手にしろ」 「だとよ、お許しが出たんなら良いだろ」 「お許しなのか…?あれは…?」 大分、投げやりに見えるんですけど………。 「兄貴…!お願いしますっ!」 「頼むから、兄貴はやめてくれ…」 良次がダメならと志水の方を見ると、まるで、自分の子供が公園デビューで初めて友達が出来たのを見守る母親の様な暖かい眼差しで見つめられて、ここに、俺の味方は居ないって事はとりあえず分かった。

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