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paradox《1》

「死にたい…」 「お、朝から物騒じゃん、どーした小野部」 机に突っ伏して呟いた俺の消え入りそうな声を耳敏く聞きつけた優が、俺の机の前に来る。 「どーしたもこーしたも無い…。消えたい…」 「ははぁ~、お前、さては昨日の事、まぁだ引きずってんなぁ」 「引きずるに決まってるだろ…」 自分が悪い事は、しっかり分かっているけれど…。 相当間抜けであろうアヘ声を聞かれた挙げ句、女みたいなと形容をされ、鈍器で殴られた様な衝撃だった。 無論、聞かされた天皇寺達の方こそ衝撃と不快感だったとは思うけれど。 良次とセックスする時は、いつも訳が分からなくなってしまって、自分では気づかなかったけれど、相当変な声で喘いでいるに違いなかった。 朦朧とした意識の中、自分の声とは到底思えない甲高い声が漏れてしまっている自覚は多少あったけれど、そこまで意識する余裕は正直なかった。 それを今回の事で、思い知らされる羽目になるとは………。 「小野部って意外と繊細だよな」 「繊細じゃなくても、あんなん引きずるに決まってるだろ…」 沈み込みそうな位、机に頭を押しつける俺に優が笑う。 「でも、まぁ、あの天皇寺が取り乱す位、小野部の声がエロイんならちょっと聞いてみたい気はするけどね~」 「エロイ訳あるかよ…。誰だって男の喘ぎ声聞こえてきたら取り乱すよ、普通」 興味本位であっても、男の喘ぎ声を聞きたいなんてもの好きはコイツだけだと思う。 「大体、俺の喘ぎ声なんて気色悪いもん聞かせちまった天皇寺と相原に土下座して謝りてぇ…」 「だから、小野部は自己評価が低すぎるんだって」 優は苦笑いをして、周りを見渡した。

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