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《2》

「そういや、良次からは解放されたのかよ?ずーっと引っ付かれてたもんなぁ、小野部」 「良次なら、何か学園祭?の準備とかで、担任の所に行ってくるってよ。急いで戻ってくるって言ってたけど」 「あ~、そういやそうだったな~。今年の学祭は運営気合入ってっから、学級委員は準備大変そうだよな」 「そ、そうなんだ...」 正直、学校の行事なんてろくに参加した事のない俺には、準備の大変さなんて分からない。 だから、想像もつかないけれど、優がそう言うのだから、きっと、労力が必要なのだろう。 「俺、なんか手伝える事あるかな...?」 俺だって、たまには良次の役に立ちたい。 「…………そうね~」 ほんの一瞬、優の目が、悪戯っぽく光った気がする。 「まぁ、もう大体何やるかとか、流れは決まってんだよね~」 「そ、そっか…」 やっぱり俺は、今回も役には立てそうもない。 落とした俺の肩を優が、元気づける様にポンポンと叩いた。 「ハハッ、心配しなくても小野部には当日大活躍してもらうから」 「え?」 驚いて、優を見る。 「俺にも出来る事あんの?」  「そりゃあ、もう。小野部にしか出来ないっつっても過言じゃねぇ事があるから、小野部は当日頑張ってくれよ」 「お…、おう」 うちのクラスが何をするのかは分からないけど、俺が出来る事があるならば、全力で手伝いたい。 力仕事なら、少しは役に立てるかもしれない。 「良次にサプライズしてぇから、この事は良次にはナイショな」 正直、うまく出来るか自信はないけれど、これは、良次の役に立てるチャンスかもしれない。 俺は、ウインクする優に向かって力強く頷いた。

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