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《8》

「りょ…、良次…」 一体、何がそんなに引っかかってんだか知らないけれど。 何か、これは…。 「俺、そんなに信用ねぇ…?」 俺が浮気したり、簡単に心変わりするとでも思っているのだろうか。 良次に信用してもらえていないのかもと、悲しい気持ちになる。 「まさか…!」 しょぼくれた声を漏らす俺に、良次が勢いよく首を横に振る。 「利久の事は、もちろん信用してるよ。だけど、利久みたいに可愛い子を、周りが放っておく訳がないだろ…!」 いや…、ないだろって言われても…。 どこをどう考えたら、そんな考えに辿り着くのだろう。 呆れて、言葉が出ない。 「利久も…、もっと自覚を持って欲しい」 「いや、何の自覚だよ…。つうか、良次が心配しなくても、そもそも、野郎どころか、女にだってモテねぇよ、俺」 言ってて、悲しくなってくるけど。 それは事実だった。 それなのに、良次は深い深い溜息を吐く。 「利久が、そんなだから、余計に心配になるんだよ」 「な…、何だよ、それ…」 絶対、俺の方が正しい事を言っているのに、何故そんな俺が物分かりが悪いみたいな反応されなきゃならねんだよ…。 ムッとして、良次を睨む。 その瞬間。 良次の顔が近づいて。 あまりの近さに驚いて。 ちょっとした言い合いになっていた筈なのに。 気づいた時には、キスされていた。

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