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《17》

「何、何、小野部早速、マニアに絡まれてたの?」 「お前…、何言ってんの…?」 また訳が分からない事を言いながら寄ってきた優に、呆れてツッコむ。 だけど、そんな俺の姿を一瞥して、良次は苛立たしげに目を逸らした。 (あれ…?) それに、何だかざわりと胸が細波立つ。 「利久、何でそんな格好してるの?」 「え…、何でって…」 「利久は、そんな格好しなくて良いから。ちっ、だから、クラスの出し物の話はしなかったのに」 不愉快そうに言われて、思わず掌を強く握り締める。 何だ、それ。 だって、うちのクラスの出し物は女装喫茶じゃん。 良次だって、してんじゃねぇか女装。 そりゃ、良次みたいに綺麗じゃないし、見苦しいだろうけど。 それでも、お笑い要員位にはなるだろ。 「あー…、俺が言ったんだよね。小野部に」 「…優」 「お前が喜ぶと思ってさ」 そしたら、俺だってさ。 「余計な事、利久に吹き込むなよ」 俺だって。 「わ、悪い…」 「全く…」 ほんの少し位は、良次の役に立てるかなって。 …そしたら。 ちょっとは、良次に喜んで貰えるかなって。 そう思っただけなんだ。 「お、俺が」 だから、ついムキになって言ってしまった。 「俺が、やりたいっつった」 「………え?」 驚いた様子の優を尻目に、良次が俺の方を見る。 俺の真意を測る様に、良次の目が細められた。

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