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《19》
「模擬店って色々あるんだな」
有名店のアイスクリームを皆で頬張りながら、さっきまでいじけていた俺はすっかり御機嫌だった。
アイスクリーム、チョコバナナに、綿菓子、ケーキにドーナツ。
片っ端から制覇しようって事で、俺達は大盛り上がりだった。
「うんうん~、太っちゃう~、でも幸せ~」
「今度は皆で食べ放題のスイーツ天国行こうね!」
「食べ放題って、良い響きだよな!」
片手にアイスクリーム、片手にチョコバナナ。
中庭の裏手の穴場を見つけた俺達は、戦利品を広げて騒いでいた。
「そういえば、今日のライブ楽しみだね~」
「ライブ?」
学園祭って模擬店や展示物だけじゃないのだろうか。
首を傾げる俺に、皆が説明してくれる。
「毎年外部から芸人とか、芸能人とかが来るんだよ~」
「トッシー知らないの?今年の運営がむちゃくちゃ力入れてて、今超人気のバンド呼んじゃったんだよ!まさか、うちの学園祭に来てくれるなんて思わなかったけど」
「ね!うちの生徒でもないのに、超ラッキーだよね!」
「ふ~ん」
「ライブの時間帯は規制とか入るみたいだよ。じゃないと一般の人達押し寄せてパニックだもんね」
「あー、だよね。私ボーカルの人、超好きなんだよね~」
「わかる~、めっちゃイケメン~!」
あまり、芸能人とか流行に詳しくない俺は、適当に相槌を打つ。
女子の色めき立つ様子を見れば、きっとそのバンドのボーカルというのは余程甘いマスクの色男なのだろう。
まぁ、俺には関係無さそうだな。
そう思いながら、俺はドーナツを口の中に放り込んだ。
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