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《22》
昔から勇介は俺とは違って社交的で、イケメンで女の子にも人気があった。
俺みたいな爪弾き者といつも一緒にいるのを、周りは怪訝に思っていただろうと思う。
「サイン下さい~!」
「あ、ごめんね。今はちょっと時間が無いから、利久に今度渡しておくから、それでも良いかな?」
嫌な顔一つせず、笑顔で応える勇介に、本当に勇介は人間が出来てるなと感心する。
だけど、時間が無いって言ってるし、そろそろ解放してやらなきゃ。
「おい、お前等!勇介が困ってんだろ!ほらほら、下がれ」
俺がそう言うと、名残惜しそうにしながらも皆渋々勇介から離れていく。
あまりに離れがたそうで、思わず苦笑いする。
だけど、俺達の様子を見て、勇介は驚いた様だった。
「…何か、利久変わったね」
「え?俺が?」
勇介の言葉に今度は俺が驚く。
確かに。
今まで考えもしなかったけれど、転校してから、あまりにも色々な事が起きて、俺を取り巻く状況が目まぐるしく変わっていた。
自然と、俺自身も気づかないうちに変わってきているのかも知れない。
自覚は無いけれど、ずっと子供の頃から隣りで俺を見てきた勇介が言うのだから、きっとそうなのだろう。
そう思っていると、勇介が思いも寄らない事を言う。
「うん、何か、王様みたいっていうか…」
「王様!?」
勇介には、女の子達が素直に俺の言うことを聞いてるのを見て、偉そうに見えたのかもしれない。
ただ、コイツらとは気心が知れてるから何でも言えるだけで、命令したつもりは毛頭ない。
それはそれで誤解も良い所なので慌てる俺に、どっかズレてる百合子がフォローのつもりなのかにこにこしながら爆弾を投下した。
「トッシーはぁ、王様じゃなくて、クラスのアイドルって言うかぁ、…あ!お姫様って感じです!」
「え!?」
目玉が飛び出しそうな程に驚きすぎて固まる勇介に、俺も激しく動揺した。
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