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《25》
「ごめんね、ちょっと利久借りても良いかな?」
「え、俺?」
パチパチと瞬きを繰り返す俺に、にっこりと良次が微笑む。
良次の綺麗な顔に微笑まれると、無条件に嬉しくなってしまう。
結局、俺も女の子達と変わらない位単純だなと内心苦笑いして、ほいほいと良次の側に寄り添う。
まぁ、俺から寄っていかなくても、女子達が「どうぞどうぞ」と言わんばかりに俺を差し出すもんだから、結局は関係ないんだけど。
「おいで、利久」
優しい声で、良次が俺の名前を呼ぶ。
だから、呼ばれるままに、良次についていった。
友達と甘い物を制覇して、親友にも会えて、大好きな良次に微笑まれて。
ご機嫌な俺は、さっきまでの苛立ちや胸のモヤモヤなんか、綺麗さっぱり忘れていた。
それどころか、もしかしたら、何か手伝いを任せてくれるんじゃないかと期待までしていた。
今度こそ、良次の役に立てるんじゃないかって。
俺だって、ほんのちょっと位は何か出来るんじゃないかって思っていた。
「あれ?良次…、ここ、旧校舎だよな…?」
「…そうだよ」
旧校舎は相変わらず人気が無く、学園祭で賑わっている校舎とはまるで別世界の様だった。
もしかしたら、在庫とかを旧校舎に置いていて、その運搬とかの力仕事だろうか。
いつもの屯している教室の更に奥に、準備室の様な場所があった。
何故かその鍵を良次が持っていて、簡単に中に入れた。
「こんな場所あったんだな…、そういや、何か運ぶもんとか、手伝いとかあれば…」
ガチャー。
言葉の途中で、鍵が掛かる音が聞こえて、俺はそこでようやく、何かがおかしいと気づいた。
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