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《28》*
「お前のせいで…、俺、こんなんだけど?」
「い…」
声にならない悲鳴が喉に張り付いた。
嘘だろ。
こないだの、人に聞かれたばっかなのに。
まさか、良次のヤツ…、学校で事に及ぼうとしている訳じゃないよな…?
冗談じゃない。
こっちは、散々恥ずかしい思いや、罪悪感に苛まれ続けたのだ。
今回は、絶対流されないからな…!
そう思って、やめろと言うつもりだった。
それなのに、良次は俺の意思とは関係なく股関を擦り付けてくる。
「はっ…」
耳元で良次の笑う声が聞こえて、身体中に血が巡る。
「ほん…と、信じらん…ねぇ………」
学校で、こんな事してくる良次も。
良次が興奮してるのを見て、擦り付けられて簡単にその気になってしまう自分も。
「お前だって、俺の女装見て惚けてたじゃねぇか。キスした後みてぇな蕩けた面して、俺の事見てた癖によ」
その言葉にギクリと固まる。
「りょ、良次は、だって…、すげぇ似合ってたし、綺麗な女の子みたいだったから…」
思い出して、ドキドキと心臓が早鐘を打つ。
いつもかっこいい良次が、あんな美少女になってしまうなんて。
きっと容姿が整っているから、化粧も然程しなくても綺麗なのだろう。
言い訳がましい俺の言葉をどう受け取ったのか、良次の目がギラリと光る。
「へぇ…、お前、女もいけるの?てっきり、ホモなのかと思ってたけど」
「………え?」
「まぁ、どっちでもいいや、男だろうが女だろうが、他のヤツに心移りする様なら、監禁して俺以外の事考えらんねぇ様に犯しまくるからな、覚えておいてね」
狂気じみた事を言う良次が、どこまで本気か計り知れなくて、俺はぶるりと身震いした。
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