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祭りの後《1》

「随分熱心に応援してるみたいだけど、利久も芸能人とか有名人とかに興味あるの?」 ライブも終わりに差し掛かった頃、良次に聞かれて、俺は横に首を振った。 「え?いや、俺は芸能人とか全然分かんねぇよ。けど、メジャーデビューは勇介の夢で、最近本当に叶えちまってさ!あ、勇介って今歌ってる俺の親友の名前なんだけど…」 この話になると、ちょっと興奮気味に答えてしまう。 何しろ、勇介は俺の自慢の親友だから。 そんな俺の様子に、良次は微笑んで目を細める。 「へぇ…、利久は優しいね…」 「そ…んな事はねぇけど…」 「その親友は利久みたいな友達がいて、幸せ者だね…、少し妬けるな…」 伏し目がちに呟いた良次の表情が愁いを帯びていて、俺は慌てて繋いだ手に力を込める。 「ゆ、勇介は親友だからな!恋愛感情とか有り得ないし、お前が嫉妬する様な事は、全く無いんだからな…!」 良次はちょっと嫉妬深い所があるから、また変な誤解が生まれたらややこしい事になりかねない。 それに、有りもしない誤解で、良次を不安にさせたくはない。 勇介とは、子供の頃からずっと一緒で、幼馴染みで親友で。 社交的で、優しくて、歌も上手くて。 本当に、俺には勿体ない位の良いヤツだ。 勇介は俺の誇りだ。 本当に自慢の親友。 俺と勇介の中にはしっかりとした友情の絆で結ばれていると断言しても良い。 そんな俺達の間に恋愛感情なんて芽生える訳がない。 勇介が大事な存在である事には変わりはないけれど。 俺が恋愛対象として好きなのは、良次だけだ。 「だから…、心配すんな…。俺が…、その、恋人として好きなのは、良次だけ…だから…」 恥ずかしいけれど、良次が安心してくれるならと、必死に言葉にする。 「ありがとう…、安心したよ…」 俺の気持ちが伝わったみたいで、良次は満足そうに微笑んだ。

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