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《4》

「利久、好きな曲ってある?」 「……………へ?」 「何でも良いんだ。利久が好きな曲なら」 急な良次の質問の意図が分からないまま、俺は記憶を辿る。 最近の流行りの曲は分からないけれど、昔母さんが好きな曲があって、俺もいつの間にか大好きになった曲がある。 最近、人気の歌手がカバーして、また色んな場所で聞く機会が増えたから、良次も知ってるかもしれない。 「昔流行った曲で、夜と朝って曲が1番好きな曲なんだけど、知ってるかな…?母さんが好きな曲で、俺も一緒に聞いてるうちに好きになったんだ…」 ラブソングで、いつもあなたを思っているという内容の歌だ。 子供の頃は歌詞の意味なんて考えた事も無かったけれど、許されない恋愛の歌なのかは明確ではないけれど、切ない歌詞だった。 朝も夜もあなたを想っている。 もしも、生まれ変わっても、もう一度あなたに恋をするだろう。 また、悲しい恋になるとしても。 そんな、切ない歌だ。 幼心に、何故母さんはこんな悲しい歌を好きなのだろうと理解が出来なかった。 今も、歌詞の深い意味なんてほとんど分かっていない。 だけど、耳に残るメロディーと歌手の甘い歌声に、いつの間にか俺も魅了されていた。 カバーで最近出た方は、アレンジがしてあって、少し雰囲気が違うけれど、やっぱり好きだなと思った。 「何回か聞いた事あるよ」 俺の答えに良次は頷いて、繋いだ俺の手を引いた。

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