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《6》
「な、何で良次がステージに!?」
「あいつ、お前に良いトコ見せたくて飛び入り参加しやがったぜ」
「えっ!?」
衝撃的な事実に、思わず変な声が出た。
「普通やるか~?そんな事。お前の彼氏引くわ~」
「か…、彼氏って…………」
優の茶化す言い方に、口元がヒクつく。
「恥ずかしいヤツ~。普段、目立ちたくないとか言ってるヤツが聞いて呆れるよな。プロの後に飛び入り参加とか、完全に痛いヤツじゃねぇか」
痛いかどうかは分からないが、良次が恥をかくのは間違いなさそうだ。
飛び入り参加する位だから、きっと歌に自信があるんだろうけど、どんなに上手かったとしても、所詮は素人だ。プロの後では聞き劣りするだろうし、場もシラケそうだ。
「と…、止めた方が良いよな…?」
「どうせ止めたって無駄だろ。それにしても、何でこんな目立つ事やらかしてんだろうな。さっきのバンドのヤツらと知り合い?」
「ボーカルの勇介が俺の親友で…」
「あー…」
優が鼻で笑う。
「アレか…。嫉妬だな…」
「嫉妬って…」
「ほんっとに、小野部が絡むとどうしようもねぇな、あいつ」
そう言って優はハハハと声を上げて笑った。
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