337 / 346
《13》
尻に張り付く手を掴んで、その手の主を睨みつける。
「何してんだよ!?」
「いや、そこに利久のお尻があったから」
「…そんな、そこに山があったからみたいに」
「ノーパンなんだなって思ったら、こう、ムラッと…」
「っ、さっき、したばっかなのに、何言ってんの?」
本当に、せっかく綺麗な顔で、カリスマ性もあって、何でも出来てカッコイイのに、どうしてこうなのだろうか…。
性欲なんてまるでありませんみたいな上品な顔をしているのに、蓋を開けてみればエロ大魔王なのだから、神様はどんな配分で良次を作ったのだろうかと思う。
「大体、お前が俺のパンツ持ってんだろ。返せよ…」
「だぁめ。まだ使ってないし」
「使うって何にだよ!?」
不穏な言葉に声を荒げれば、良次が声を出して笑う。
俺が慌てたり焦るのを見て揶揄って楽しんでるんだ、絶対。
「はぁ、本当、仕方ねぇな…」
呆れて溜息を吐く。
カッコイイ所もどうしようもない所も、全部ひっくるめて良次で、
そんな良次を好きになったのは自分なんだから。
「帰ったらもう一回しような」
「…………うん」
てんで悪びれる様子の良次の言葉に、暫くの沈黙の後、微かに頷く。
そんな俺を見て、満足そうに微笑んだ良次は、とんでもなく下世話な事を言っているのに、やっぱり綺麗だった。
ともだちにシェアしよう!