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鬼遊び《1》

「ええと…、良次に頼まれてた本は…と」 俺は、学校の帰り道。自分とは縁遠い本屋へと足を運んでいた。 生徒会が長引いてまだ帰れない良次に頼まれたからだ。 「てか…。この本屋、広くねぇか?」 暫く歩き回っていた俺は立ち止まり、げんなりと呟く。 正直、途方に暮れていた。 そう、軽はずみにお遣いを了承したものの、俺は良次に頼まれた本のコーナーさえ見つけ出せずにいた。 地元の本屋といえば、商店街の中に店舗があって、見渡せる程度の範囲に本が押し込まれている様な店だった。 そのつもりで、一番近い本屋に辿り着いた俺は、まさか目的の本を一時間も探し回る事になるとは露ほども思っていなかったのだ。 ワンフロアだけでも、見渡しきれない程の広さだというのに、事もあろうかこの本屋は5階建てだった。 本なんて、漫画くらいしか縁の無かった俺は、まず良次に頼まれた本のジャンルがどれなのかすら分からなかった。 いっそ、諦めて帰ろうか。 「いや、お遣いすらまともに出来ないのかよ…」 流石にそれは情けなさすぎる。 普段何の役にも立ってないんだから、たまには良次の役に立ちたい。 俺は、へこたれそうになる自分を鼓舞して、ようやく小説コーナーらしき場所へと辿り着いた。

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