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鬼遊び《5》

天皇寺に嫌われているのは、天皇寺が良次の事を好きだからだと思っていた。 子供の頃から良次への恋心を隠して、男同士だから言えずにいたのだろう。 だから、急に現れた“良次の男の恋人”である俺に驚きや葛藤があって。 だから、あんなに嫌われているのかと、そう思っていた。 でも、実際はただ単純に俺自身の事が嫌いだったんだ。 俺が、天皇寺が嫌いな狡くて卑怯な腰抜けだから。 「…………」 頭の中で反芻すると、ズンッと気持ちが鉛を落とされた様に沈み込む。 「利久?」 不意に呼ばれて驚いて顔を上げる。 「どうした?顔色悪くないか?」 「あ…………」 良次の顔を見て現実に引き戻された。 「具合悪いのか?」 良次が俺の座っていたソファーの隣りに腰掛け、そのまま俺の額に手を当てる。 良次の手は俺の額よりも温度が低い様で、ひんやりとして気持ちが良い。 「大丈夫…」 「そうか…?何か元気ないな」 「ちょっと疲れただけだよ」 「今日はお使いに行ってくれたもんな。本、ありがとう。大事に読むよ」 「大事に読むって……、別に金出したのは良次だし、その本だって…」 言い掛けて、今日の出来事を思い出す。 「その本だって、一人じゃ全然見つけらんなくて…、1時間以上本屋彷徨って…」 話しているうちに段々情けなくなってきて、鼻の奥がツンと痛む。 「偶然会った天皇寺がフロアを教えてくれて、け、結局店の人に聞いて、やっと見つけて…」 おまけに役立たずだ。 鼻を啜ると、良次が俺の体を引き寄せた。

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