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鬼遊び《7》

「ずっと、利久を嫌ってたら良い」 「………え?どういう…意味だ…?」 「そのままの意味」 ……全く分からない。 俺は嫌われたくないんだけど。 良次が苦笑する。 「これ以上ライバルが増えたら困るからな」 またそんな冗談を言っている良次の表情は真剣だった。 「利久が可愛いくてセクシーで魅力的なのは仕方ないけど、モテすぎるのも考え物だね」 「一切モテた覚えがないんデスケド…」 いつも通りの意味不明な事をいう良次に思わず片言みたいになる。 毎回思うが、良次の脳内ではもしかして俺は、全くの別人として認識されているのではないかと若干恐怖を覚える。 もしかしたら、良次の中の俺は、姿形や声や性格までも全く違う人物に映っているのではないだろうか。 「あいつはいい男だから」 滅多に人を褒めない良次が、天皇寺の事は凄く認めている様だった。 確かに天皇寺は長身で細身で整った精悍な顔をしている。 きっと頭も良いんだと思う。 良次が天皇寺をいい男と褒めるのも分かる。 だけど、雰囲気というか目つきというか、近寄りがたい空気が天皇寺の周りには渦巻いている様に俺には見える。 無言で威圧されている様な気さえする。 実際されているのかもしれないけど。 「ちょっかい掛けられて、利久が魔が差して浮気でもしたら困るからな」 「そんな訳ねぇだろ…」 天皇寺が俺にちょっかいを掛けるのも、俺が天皇寺と浮気するというのも、現実離れしすぎて想像さえつかない。 どうしたらそんな考えに至るのか、良次の頭が心

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