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鬼遊び《8》

「トッシ~、こっちのクレープも美味しいよ!一口食べて良いよ!」 「え!?マジ!?こっちのパフェもうめぇから、食えよ」 「トッシー!こっちのケーキも美味しいよ!」 「え!?それ、何が乗ってんだ!?」 「こっちがさくらんぼのムースで、こっちの上のは薩摩芋とリンゴが乗ってて…」 「おおお俺もそれ、取ってくるっ!」 日曜日、俺はクラスの女子と一緒にスイーツの食べ放題に来ていた。 キラキラと見た目も綺麗なケーキに、滝の様に延々と湧き上がるチョコレート、フルーツや生クリームいっぱいのパフェ。 まるで絵本のワンシーンの様な初めての光景に、俺は終始大興奮だった。 これが、いくら食べても値段が変わらないんだから、遠慮する理由なんて一つも無い。 こんなに沢山の甘いものに囲まれているだけでも幸せな気分だった。 あの本屋の一件から天皇寺との事を引きずっていた俺は、翌日朝から項垂れていた。 そんな俺の様子を見かねたクラスメートの亜希が、女子会を企画してくれたのだ。 好きなだけ甘いものを堪能して、最高の一日…。 で終わるはずだった。

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