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第7話
「何?何で恭平がそんなに必死になると?」
「なる!俺もおじさんのパンのファンやし、おじさんが一生懸命に仕事していると知っとるし、見とった!」
恭平の目は真剣で少し父親に嫉妬しそうだった。
「なんなん、お前も父さんもパンの事ばっかやん!なん?客が大事と?金になるけん?」
恭平を睨みつけた。でも、その瞬間掴まれた腕に痛みを感じた。力を入れられたのだ。
「いたっ、恭平痛い」
「お前、それ本気で言いよる?本気やったら俺怒るばい?いくら一護でも」
見たことない顔と声で言われて初めて怖いと思った。あの時みたいに怖いと。
「なんだよぉ……」
一護は情けないけれど本気で怖いと思って涙目になってしまった。
急に涙目になってぐすぐすっと泣き始めた一護に慌てる恭平。
「あー!!くそ!本当、お前クソやん!俺がお前に弱いの知っとーけんそうやって泣く」
恭平は押さえてた手を離して一護を抱き締めて頭をヨシヨシと撫でた。
「ごめん、泣くな」
恭平から頭を撫でられながらに謝られて一護はようやく泣くのを止めた。
「恭平のばかちんお前、自分がどれだけ怖いか知らんやろ?ホント怖いとけど?」
恭平の胸の中にスッポリと顔を埋めて文句を言う。直接顔を見ると言えないから。
「だからごめんって」
「謝っても許さんもん」
「じゃあどーしたら許すとや?」
その質問に「このまま……ちょっとおって」と答えた。
「は?このまま?抱っこのまま?」
「そう、なんか恭平の心臓の音聞くと落ち着く」
「そーか」
恭平はそういうと頭を撫でる。
「本気やない」
一護はボソッと小さい声で言う。
「俺ね……凄く嫌やった。仕事が忙しくなって親父が俺に構わなくなってお客とか仕事の方が良くなったとかな?って悲しくなった。恭平も同じ事言うし。俺より皆、パンとか仕事とかお客が良いとかな?って子供やん俺」
「ばーか!」
恭平は一護をギュッと抱き締めて「1回、体験してみたら分かるよおじさんの気持ちが、それでも分からんやったら俺も諦めるし」と言った。
「は?諦めるって俺を?」
驚いて顔を上げる一護。
「は?違うけど?パン屋やることぞ?お前は諦めんけど?10年何で待ったと思うとや?舐めんな」
その言葉にホッとした一護。
「10年、10年うるさい」
ホッとしたら嫌味を言えるようになった。
「お前なあ!やりたい盛りの成人男性の10年舐めんなよ」
ちょっと怒った恭平。
「それは俺も同じやもん。お前なら……なんかもっと強引にきてくれるかとも思ったし、本当に待つって思わんかったもん」
「は?なんやそれ?強引にいっても良かったってこと?」
その言葉に一護は真っ赤になる。
「あー!ちくしょうー!やっぱあん時強引に犯せば良かったんか!」
悔しがる恭平。
「いや、あの時はマジで怖かったから引いてくれて良かった。その後たい……なんか意識して顔を見れんくなったもん」
「マジかよ」
悔しそうにする恭平。
「ごめん、10年も待たせて」
「ホントそうだな」
まだちょっと怒っているように見える恭平。
「恭平、好いとーよ」
「は?」
恭平は何を言われたのか分からなかったのか真顔で返す。
「もう言わん!」
一世一代の告白だったのにとプーと膨れる一護。
「えー!もう1回言うて」
「もう、言わんしー」
「言わんとこのまま犯す」
「は?」
恭平は驚く一護の下着に手をかける。
「だ、だめ!」
「じゃあ、言うてよ」
「恭平のばーか!ちくしょー」
顔が真っ赤になる一護。
小さく「好き」と呟く。
「あー、やっぱ我慢できん!」
「わあ!!やめろ!」
服を脱がしにかかる恭平を頑張って押しのける一護。
「じゃあ、キスで我慢する」
恭平は一護を押さえ込むとキスを何度もした。
好きと言ってしまった後のキスはなんだか燃えてしまって一護自ら舌を絡ませてしまったのだった。
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