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第12話

「ごめんね、うちのバカが」 ニコッと微笑む部長は優しい笑顔で親しみがわく。 「シゲちゃんの息子さんだよね?よろしくね。僕ね、シゲちゃんに良くしてもらってたんだ、寂しいよね」 一護にぺこりと頭を下げるものだから一護も慌てて頭を下げる。 「もう十五夜のパン食べれないのかと思ってたから嬉しいんだ。泉が催事に十五夜を入れたいって言ってきた時は驚いたよ、シゲちゃん亡くなっただろ?って言ったら息子が居る。ちゃんと十五夜の味を受け継いでいるって鼻息荒くいってくるからさ僕もね十五夜のパンのファンだから明日買うからね」 部長はニコニコ笑って去っていった。 「な、すげーだろ?十五夜とおじさん」 ニコッと笑う恭平に釣られて一護も笑った。 後から鈴木が来てくれて搬入は思ったより早く終わった。 「人気もんじゃん一護。こんなに一気に名刺貰って」 一護は色んな業者と名刺交換もしていた。 「俺の力じゃねーし」 挨拶疲れでぐったりとする一護の頭をくしゃくしゃ撫でると「お前の力もあるよ」恭平は元気づけてくれた。 本番は明日。緊張する。 「じゃあ、明日、朝早く入るんだろ?」 恭平はヒラヒラと手を振る。 「えっ?うち来ないの?」 思わず出た言葉。恭平は驚いた顔をしたあと「なに?泊まって欲しい?」とニヤニヤする。 「そ、そんなんじゃなか、ただ緊張するし」 「お前……他の男にそんな事いうなよ?お持ち帰りされるけん」 「は?お前にしか言わんし?」 何言ってんだ?と恭平を見ると何か顔が赤い。 「ほんと、お前ずるかあ!!っていうか小悪魔」 グイッと身体を引き寄せられた。 「一護の家に行くより俺んちが近いって知っとった?」 「へ?」 「俺んちこいよ」 ひゃー!!!と一護は顔が熱くなる。 「警戒すんな、別にいらやしい事せんし、約束は守る」 そう言われてちょっとガッカリしたとか言えないが恭平の部屋に行く事にした。 ◆◆◆ 恭平の部屋は結構良い感じで「百貨店って給料良かと?」と一護は思わず聞いてしまった。 「まあまあかな?食費は結構浮くし」 「えっ?どういう事?」 「催事で余ったもんとか貰えるし、弁当とか従販で買えるし」 「従販?」 「あ、従業員販売の略、期限間近の弁当って客には出せんやん?そいけん従業員に安く売るったい、あ、催事のやつもできるばい?パンとか期限短いやろ?捨てるともったいなかし、でも十五夜のパンは売れ残らんけん安心せろ」 「なんか、面白かなあ裏事情聞くのって、たまに百貨店行ってさ余ったやつどーしよるとやろ?って思っとった」 「食品部は食事に困らんばい」 恭平はくすくすと笑う。 「風呂入るやろ?」 といきなり言われて一護は固まる。 「何?緊張しとるとや?安心しいよ、今日は襲わんけん」 恭平は微笑むとタオルと着替えを貸してくれた。 風呂場に案内されて「風呂ゆっくりつかれよ、明日本番やけん、飯も用意しとく」と頭をポンポンと撫でられた。
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