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第5話

『関東地方もようやく梅雨入りし、今週も雨が続く模様です』  お天気アナウンサーの言葉を聞いてからテレビを切る。また雨の季節か…… 「ふぁ……」  アクビを一つしてスーツを着こんだ。  あれから7年、俺も社会人になった。  早起きして一日中、パソコンに座りっぱなし。やってもやっても仕事が終わらないし、毎日サービス残業。唯一の楽しみはカフェでゆっくりコーヒーを飲む事。忙しい毎日を流されるように過ごすだけ。  今日は全然、仕事がはかどらない……  きっとこの雨のせい。気分転換にどこか外で仕事するかな。ノートパソコンを持ち、会社を出る。  近くのファミレスに行こうとしたら、見慣れないカフェがオープンしていた。 『電話可の席あり』 『フリーWI―□I使えます』 『充電OK』  窓に貼られたシールをジッと見る。何、この魅力的な店……こういうサービス、カフェでは珍しい。迷う事もなく、その店に入った。  周りを見渡すとお洒落で落ち着いた雰囲気。コーヒーの良い香りに気分が上がる。スーツの上着を脱ぎ、ネクタイを緩めて案内された席に腰を下ろした。     「星名!!」  突然、大声で呼び止められ振り向くと、そこには雨宮が立っていた。  七年経ってもすぐに分かった。  全然変わってない。いや。あか抜けてもっと人目を引くようになった。ウェイターの格好してる…… 「…………雨宮、久し振り。地元に戻ってきたんだ。ここで働いてるの?」 「あ……うん。大学卒業してから戻ってきた。 この店のオーナーが親戚で……」

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