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第6話
それから毎日のように店に通った。時間はモーニング、ランチ、夕方と色々。親戚の店を手伝ってるだけあって、雨宮は店を訪れると必ずいた。
そのうちに気が付いてしまった。雨宮とあるスタッフの距離が異様に近い。
男は髪は明る過ぎだし、雨宮と真逆のタイプ。
「雨宮、味見して」
「うん」
「クリーム必要?」
「ある方が好き」
「じゃ、入れようかな」
「飯山のケーキ、本当に美味しい」
飯山と呼ばれた男は嬉しそうに雨宮に笑顔を向けた。近すぎる距離が気になって仕方ない。
もしかしたら、雨宮の彼氏……?昔、俺の事を好きだって言ってくれたわけだし、恋愛対象は男、あり得ない話ではない。チラリともう一度雨宮を見ると、親密な空気でなんだかモヤモヤする。
俺の中のお前は控えめで大人しい奴。思い出すのは最後の時の涙目と悲しそうな顔。
もし、あの時、俺があんな酷い事を言ってなかったら、どうなってた?隣にいたのは……俺だったりして……
…………って、おいおい。何考えてるんだよ。そんな事考えてどうしたいんだ。
良かったじゃないか。あの告白がトラウマになってたら、責任ものだろ……
「そういえば、昨日のお笑い見た?」
「見た見た!2組目のやつさ……」
二人は楽しそうに笑ってる。雨宮、そんな風に笑うんだな……
幸せそうに笑う雨宮にホッとしつつ、どこか心から祝えない自分がいた。
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