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第7話
今日もまた、朝から雨。しかも急ぎの仕事が立て続けに入ってマトモに昼も夜も食べれなかった。なんとか仕事が終わったのは夜の10時過ぎ。もうこんな時間か……と腕時計を見ながら、ため息をこぼした。
雨宮は仕事とっくに終わっちゃっただろうな。今日は会えないのか。でも、良かったのかも。スタッフの奴と仲良くしてるの、見たくなかったから……
俺、疲れてんのかな……
なんで、こんな事を思うんだろう。
傘立てを探すけど、自分の傘が見当たらない。誰かが間違えたのだろうか。でも、似たような傘が他にも何本かあって特定出来ない。マジかよ。勘弁してくれ……
今は小雨。少し悩んでから、最寄りの地下鉄まで走る事にした。
パシャパシャ。ズボンの裾が濡れ、やっぱり雨なんて嫌いだと心で悪態をつく。
『星名が好き』
雨の音を聞くと昔を思い出す。
ただの過去の話なのに……
ザー……
突然、雨足が強くなってきた。仕方なく、屋根がある場所を探し、ビルの一角に避難する。困ったな。結構降ってきた。ここで少し雨宿りさせてもらおう。
だけど、待っても待っても雨はやまない。コンビニまで走って傘買う?コンビニまで距離もあるから着く頃にはビショビショだろうな。もう諦めていっそ濡れて帰るか……
「星名」
そこには傘をさしてる雨宮がいた。
「…………雨宮」
「傘ないの?今日、朝から降ってたのに」
突然の事に驚きを隠せない。雨宮が俺の方へ近づいた。
「会社で誰かが間違えて持ってっちゃったんだ」
動揺を隠すみたいに平然と答える。
…………雨宮に会えた。
「災難だったね。 俺はなんか急に甘いもの食べたくて、コンビニに行った帰りなんだ」
「そう……」
「うちに来る?」
「え?」
突然の申し出に耳を疑う。
「すぐ近くなんだ。 傘貸すよ。濡れてるからタオルも」
「い……いいのか……?」
「ハイ」
雨宮が傘を傾けた。
…………これって相合傘?少し考えてから、傘の中に入る。
流石に男二人で相合傘していたら、目立つ。すれ違う人にジロジロと見られた。
思った以上に近い。
…………緊張する。
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