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第8話
「お前、肩、濡れてる。もっとこっちに寄れって。 俺が傘持つから」
傘を奪い、雨宮の濡れた肩を引き寄せる。距離が近くなり、雨宮の顔が赤くなった。
…………う、うわ!雨宮、照れてる?頬も耳も真っ赤過ぎる。俺の方をチラッと見て、目が合うと慌てて逸らし、不自然な位、顔を背けた。
何、その可愛い仕草……
思わずキュンとしてしまう。
「雨宮、もう少しこっちに来ないと」
「すこ、少し位濡れても平気! こっ、今度は星名が濡れてる!!」
緊張してるのか、声、ひっくり返ってるし。
………………駄目かも。
雨宮が可愛い……
ザー……
周りの音がが聞こえない位、雨が降ってる。
家に二人きり……
ゴクリと息を飲む。何を緊張してるんだ。雨宮には彼氏がいるかもしれないのに!
そうこうしているうちに雨宮のアパートに着いてしまった。カフェからも会社からも近い。
「ハイ。タオル、どうぞ」
タオル借りながら、まだドキドキしてる。
目線を感じ、振り向くと雨宮は俺をボッーと見ていた。そんなに見られると照れる。
「…………何か付いてる?」
「別に!見てないよ!」
思いっきり否定されるけど……
雨宮は大慌てでキッチンに行ってしまった。棚を開け、雨宮はコーヒー豆を取り出してる。
相合傘をしてから雨宮の様子が変だ。動揺してる様子は可愛くて、つい言ってしまった。
「そんなに警戒しないで。襲ったりしないから」
「……わ、分かってるよ! ただの友達なんだから、何もあるわけ無いじゃん!」
焦ったような強い口調。
何気ない言葉が胸に刺さり、開きかけた口をつぐむ。
『ただの友達』。雨宮の言葉にショックを受けてる自分がいた。
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