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第11話

 今日で最後、店に行くのはやめよう。二人の姿を見るのはウンザリ。いつも、そう思ってる。  なのにフラフラとカフェに出向いてしまう。店では雨宮と彼氏が仲良く話したり、笑い合ってるのを何度も見た。それでも俺は毎日、雨宮に会いに行った。  自分でも何がしたいのか、分からない。彼氏と一緒の所を見てはモヤモヤしたり、嫌な気分になったり……  やめるべきなのに。 「ケーキの試食してくれ」 「…………うん。美味しい!これ、レモンシフォン?爽やかな味!」 「こっちがレモンホワイトチョコレート、こっちがチーズクリーム」 「どっちも美味しそう…… レモンチョコ、合うね!!」  今日も二人は距離が近い。言ってやろうか。俺の前でイチャイチャすんなって……  言ってどうすんの。雨宮はきっと困るだけ…… 「雨宮は食べさせがいがあるな」  男が嬉しそうに笑う。  本当に面白くない。なんだよ。ちょっとケーキが作れるからって……  雨宮には彼氏がいる。本人の口からも聞いた。残念ながら仲も良くて相思相愛。そんな事は分かってるんだ。  でも、雨宮に会いたい……  …………その目が俺に向けられていなくても。  日が経つにつれ、自覚せざるを得なかった。いい加減、向き合わなきゃいけないのかもしれない。自分でも押さえられない気持ちと雨宮への想い。   …………ごめん。  雨宮。お前が好きなんだ……    …………本当はあの日から、ずっと雨宮の事が気になってた。  もう、俺の事を好きでいてくれたお前はいない。時間が戻る事もない。  彼氏いるのに好きになるとか、それでもいいから会いたいとか……  笑えないだろ……

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