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第22話
side晴海
凪の高校進学のお祝いを兼ねて、東京近郊のテーマパークに遊びにきた。母と三人で来る予定だったが、急に出勤することになりまさかの男二人での遊園地だった。
春がそこまで来ているのだが、どんよりとした空の下で寒さに震えながら順番を待つ。
凪が推していたジェットコースターに乗るのだ…。
正直、ジェットコースターは得意ではない。
最後に乗ったのは…多分…小学校を卒業した頃。
やはり母と凪と三人でこのテーマパークに来た時だ。
身長制限で凪が概ね引っ掛かったので激しい乗り物には乗らないで済んだが、今回はそうはいかない。
諦めて乗る覚悟を決めた。
もうすぐ順番が回ってくる。
手が汗ばんできた。
「晴くん、遅れちゃうよ」
凪が僕の手を取った。
すぐ前に並んでいる女子達は待っている間も楽しそうだ。
その中の一人がこっちを見ながらこそこそ喋りだした。
凪のことをみてるんだろう。同姓の兄からみても凪はカッコイイ。
普段からモテるんだろうな、と思う。
まじまじと顔を見ていたら今度は背中に手を置かれ、エスコートされてしまった。
「ほら、列が進んでる」
「あ、ホントだ」
前にいる女子達の視線が刺さる。
一斉に振り向かれ、ヒソヒソ話している。
訳の解らないままジェットコースターに乗り込んだ。
「晴くん、平気?」
ジェットコースターは思いのほか激しかった。内蔵が揺さぶられ少し気分が悪い。
「…うん、ちょっと休ませて」
ベンチで凪にもたれかかる。
するとさっき前にいた女子達が遠くからこっちを見ているのに気がついた。
「?」
視線の先に気づいたのか凪が
「ああ、あの子達ね。腐女子だよ。俺と晴くんがデートしてるって思ってるみたいだよ」
(デート!確かに!)
意識したら顔が赤くなってきた。
凪が耳に口を寄せて
「そんなカワイイ顔、外でしないで」
なんて言うから余計に顔が熱くなった。
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