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第24話

side凪 売店でもふもふ耳のカチューシャを買った。 もちろん晴くんに着けてもらうためだ。 少し抵抗されたが、ここは夢の国だからと説得したら、しょうがないなと言って着けてくれた。 通りすぎる人達が、もふもふ耳を着けた晴くんをチラチラ見ている。 人目がなかったら抱き締めたい位可愛い。 そのままの姿で次々とアトラクションに乗った。 もちろん晴くんでも乗れそうなゆる~いものばかりだ。 激しめのものにも乗りたかったが、好きな人とのデートはそれだけでモチベーションがあがる。 やがて暗くなり、夜のパレードが始まると晴くんと手をつないだ。 暗いから離れていかないようにと言ったけど勿論建前で、夜に紛れてイチャイチャするためだ。 晴くんは夢中になってパレードの山車を見ている。 俺はそんな晴くんを見て頬がゆるんだ。 つないだ手をそっと外し、肩に手を回す。 (嬉しい。恋人っぽい) でも〈仮・恋人〉ではなく恋人になりたい。 愛を囁いて、晴くんを甘やかしたい。 今だけ、このパレードが終わるまでは 仮でもいい、〈恋人〉でいさせて…。 side晴海 夢の国にいる間だけ、と言われてついにカチューシャをつけてしまった! しかも猫耳!モフモフ! 周りからの視線が痛い…。 ジェットコースターで気分が悪くなったおかげか、凪は穏やかな乗り物だけを選んでくれた。 そのせいか周りはカップルか親子連れ…。 僕らはどういう風に見られているのだろう…。 凪に申し訳ない。ホントなら可愛い女の子が凪の隣に立つべきなのに…。 あっという間に辺りは暗くなり、パレードが始まった。煌びやかな衣装を纏ったダンサー達が華麗に踊る。キャラクターの山車も見事な電飾で飾り付けられて、まさに夢の国にいるようだ。 夢中になって見ていたら繋いでいた手はいつの間にかほどかれ、凪に肩を抱かれていた。 ここは夢の国。 パレードの光が滲んで零れた。 ここにいる間だけは、凪と恋人ごっこをしていられる。 凪の隣に立つべきは僕じゃない。 悟られないように指で涙を拭った。 兄の僕では、凪の隣に立つのに相応しくないのだ。 パレードが終わり、煌びやかな夢の国の魔法が解ける。 「凪、帰ろう」 ここを出たら、今まで通りの兄と弟に戻るのだ。

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