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第29話

side晴海 「は~る~」 今日も来た。 都丸生徒会長。 「都丸、先生達と打ち合わせでしょ」 「ミスターサトーまだ来てないし」 「いや、もう行った方がいいって」 「晴、冷たいよ。東儀みたいだよ。癒して~」 ああ、また抱きつかれた。この人これがなきゃ完璧なのに。 体育館に響く都丸の声。 「都丸!佐藤先生がお待ちかねだぞ。早く」 その声を聞き付けてかやっぱり来た、東儀。 「早く連れていってよ」 引き剥がそうとしてもびくともしないのに東儀の手にかかると何故か剥がれた。 「晴~後でね~」 二人を見送り僕はせっせと設営を進めた。 「何か食ってこう」 「ラーメン」 「ファミレス」 「牛丼」 それぞれの仕事も終わった帰り道、都丸の提案に意見がまとまらない。 ラーメン好き東儀対ファミレス派僕対丼もの大好き都丸。 「じゃ、間をとってパフェ食べてこ」 「しょうがないなぁ」 「どこが間だよ」 僕が一方的に決めて、近くの喫茶店に入った。 窓際の席に座って男三人でパフェをつついていると、通りの向こうにいる凪が目に入った。 (今日も出歩いてる…) 交差点に近づき信号待ちをしている凪の肩を誰かが叩く。 (昨日の…!) デートだろうか。寄り添って交差点を渡っている。 (あ、よろけた体を凪が支えてる…) 恋人同士ならば自然な動作だ。だが見ている自分はいたたまれない。 スプーンで掬ったクリームの甘さが、一段と辛さを意識させる。 無理やり飲み込んで、店を出た。 様子がおかしかったのに気づいたのか都丸が 大丈夫かと声を掛けてきたが、大丈夫と一言答えて彼らと別れた。

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