34 / 179

第34話

side晴海 始業式が終わり、クラスへと急ぐ。 大きなクラス替えは無いので、メンバーは三年間ほとんど代わり映えしない。 廊下側から二列目の席に着く。 担任の宇崎先生から一言挨拶があり、学活終了。 「晴~うっ!」 忍び寄る都丸を東儀が塞き止めている間に、始業式の片付けをしに体育館に戻った。 翌日の入学式でも使う機材、コード類をまとめて放送ブースに突っ込んでおく。 放送委員の事代堂(ことしろどう)と柴田と三人で明日の打ち合わせをざっくり行い、今日は終了。 明日は凪と直樹の入学式だ。 放送担当で僕は参加する。 凪と顔を合わせづらいのもあって、僕は都丸達とラーメンを食べてから帰ることにした。 三人でバカな事を言って過ごす時間はとても楽しい。 東儀はいつも都丸に小言を言っているイメージがあるが実はとてもお互いを信頼していて、仲がいい。 僕にはそこまで仲のいい友人がいない。 誰とでもそこそこ付き合えるが、実のところ友人と呼べそうなのはこの二人だけだ。 「ただいま」 「晴、おかえりなさい」 「明日の入学式、来るんでしょ?」 母さんの顔が曇った。 「出席するけど終わったら直ぐに病院に行かないといけないの」 「うん、わかった」 「凪をお願いね」 「大丈夫だよ。あんなに大きいし」 中身は子供よ、と母さんが微笑んだ。 (子供なのは僕の方だよ) 凪と距離ができて寂しく思っているんだから…。

ともだちにシェアしよう!