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第34話
side晴海
始業式が終わり、クラスへと急ぐ。
大きなクラス替えは無いので、メンバーは三年間ほとんど代わり映えしない。
廊下側から二列目の席に着く。
担任の宇崎先生から一言挨拶があり、学活終了。
「晴~うっ!」
忍び寄る都丸を東儀が塞き止めている間に、始業式の片付けをしに体育館に戻った。
翌日の入学式でも使う機材、コード類をまとめて放送ブースに突っ込んでおく。
放送委員の事代堂(ことしろどう)と柴田と三人で明日の打ち合わせをざっくり行い、今日は終了。
明日は凪と直樹の入学式だ。
放送担当で僕は参加する。
凪と顔を合わせづらいのもあって、僕は都丸達とラーメンを食べてから帰ることにした。
三人でバカな事を言って過ごす時間はとても楽しい。
東儀はいつも都丸に小言を言っているイメージがあるが実はとてもお互いを信頼していて、仲がいい。
僕にはそこまで仲のいい友人がいない。
誰とでもそこそこ付き合えるが、実のところ友人と呼べそうなのはこの二人だけだ。
「ただいま」
「晴、おかえりなさい」
「明日の入学式、来るんでしょ?」
母さんの顔が曇った。
「出席するけど終わったら直ぐに病院に行かないといけないの」
「うん、わかった」
「凪をお願いね」
「大丈夫だよ。あんなに大きいし」
中身は子供よ、と母さんが微笑んだ。
(子供なのは僕の方だよ)
凪と距離ができて寂しく思っているんだから…。
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