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第43話
site凪
朝、晴くんと電車に乗る。
車内吊り広告を眺めているふりをして、チラチラ晴くんを見た。
楽しみにしていた朝の登校時間なのに晴くんは前より笑わなくなった。
最近、晴くんは忙しいみたいで、そのせいか疲れが溜まっているようだ。
家に帰ってきてもぼーっとしていたり、すぐに部屋に籠ってしまったり。
(悩み事でもあるのかな…)
僕には話して欲しい…。
side晴海
車窓を見るふりをして、窓ガラスに映る凪を見た。
心配そうに僕を見ている。
(ゴメン…)
まだ凪の顔をちゃんと見られない。
ガタンと電車が揺れた。
「あっ」
よろけてしまった。
「はるっ」
とっさに凪が僕の肩を抱きしめた。
「あ、ありがとう」
「うん」
凪が僕の目を真っ直ぐに見ている。
「……」
僕も凪の目を見つめ返した。
少しだけ素直になれた気がした。
side凪
(外を見てる…)
晴くんが何を考えているのか…。
ガタンと電車が揺れた。
「あっ」
晴くんがよろける。
「はるっ」
とっさに体を支えた。
「あ、ありがとう」
「うん」
(肩が…)
今更ながら華奢な肩を抱いてしまい内心焦った。
(晴くん…)
目が合っても、逸らすことができなかった。
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