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第46話

side晴海 体が気怠い…。 そして関節が軋んで動けない…。 「はあ…」 直樹との行為の後、僕はまだベッドで寝転んでいた。 (セックスするなんて思ってなかったな…) 「よいしょっと」 声を出し、なけなしの気合いでバスルームへ向かう。 ちょうど直樹があがってきたところだった。 髪からポタポタと水滴が垂れている。 顔に張り付く髪の毛すら色香を増幅させている。 一瞬、ドキッとした。 「晴くん、大丈夫?」 タオルで頭を拭きながら、心配そうな表情で問いかけてくる。 「ま、何とか」 少し見栄を張って答えたが、体は悲鳴をあげている。 体中べたべたして気持ち悪いし早くスッキリしたい。 だが足を踏み出したとたん、膝がカクンとなり目の前の直樹に抱きついてしまった。 「はうんっ」 「キャッチ!」 爽やかな笑顔、逞しい体、優しく包み込む腕…。 心臓が高鳴る。 (ダメ!静まれ…!) セックスしてから直樹の仕草にドキッとする。 僕の気持ちが凪から直樹にシフトしている証拠だろうか。 好きな人を忘れるために別の人と体を繋げる…。 (そんな……) 「…ふあっ!」 「俺が洗ってあげるよ」 考え事をしている隙に腰に手を回され、浴室に引っ張り込まれた。 優しく身体中を洗われて気持ちよくなってしまった。 そして後ろから抱っこされながら浴槽につかる…。 (こういうのを甘やかすって言うんだな…) 兄として面倒を見ることはあっても見られることはまずない。 新鮮な感覚だ。 うとうとしながらすりすりと頭を直樹の胸に擦り寄せていた。 ザバッと水飛沫があがり、口付けされた。 (……!) 「何で、もう!」 そんなに可愛いことしないでよ、と顔を赤くして直樹が言った。 (…え?…カワイイ?) (…そうなの??) 「ゴメン…無意識だった」 「…天然か…」 僕は自分がこんな風に見られていた事を初めて知った…。

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