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第47話

side凪 晴くんの帰宅時間が遅い。 確かに委員会活動や受験生としてやるべき事が多々あるのは理解している。 それにしても、だ。 さらに気になるのは風呂あがりのような、よその家のシャンプーの香りがするような気が…。 まさか、晴くんに限って…。 「ただいま」 晴くんが帰って来たが、もう20時を回っている。 「おかえり、ずいぶん遅かったね」 「ん?…うん、やることが多くて」 晴くんが曖昧な笑顔を向けた。 「…ふーん」 横目で晴くんを見る。 「ふあ~っく」 晴くんは眠たそうに欠伸をしている。 「お風呂に入ってきなよ。その間に夕飯並べとくから」 「いいの?」 いつもありがとう、と優しさの気配りを忘れずに晴くんはリビングを出た。 心がモヤモヤするが気にしないことにした。 …気にしない、…気にしない…。 …気になる…。 晴くんと夕食をとり、それとなく探りを入れても確証はなかった。 俺は自分がしていることを棚にあげて、晴くんを疑っている。 (晴くんの性格なら彼女が出来たって言ってくれそうだけど…) (照れてる?) (それとも…言えないような…相手…?) 布団を頭から被り、ぎゅっと目を瞑る。 眠れなくても、朝は来る…。 名前を呼ばれる。 振り向いて、駆け出したいのに… 足が動かない。 体だけ捩る。 すがり付くように手を伸ばす。 声を発しようにも息が出来ない。 溺れるように…取り込めない空気を必死で吸い込むように… 「……ぎ」 (……!) 「…凪!」 「わあっ!」 文字通りガバッと起き上がった(と思う)。 「あれ、晴くん…」 晴くんがベッドに乗り掛かるようにして俺を見ていた。 「うなされてたから起こしたんだけど…」 怖い夢でもみたのかと問われた。 「見たけど…よく覚えてない…」 額から汗が、つっと垂れた。 (なんだろう…この…取り残される感じ…) (ひとりぼっちになるような…) 得体の知れない不安にうっすらと包まれた。

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