50 / 179

第50話

side晴海 終業式が終わり、いつものようにマイク、スピーカー、コード類を皆で片付ける。 明日からは夏休み。 高校最後のだ。 僕は付属大学への進学がほぼ決まっているので、幸い予備校浸けの生活になることはない。 学力維持の為の夏期講習に参加するだけで済んだ。 今年も少しでもいいから凪と過ごしたい。 side凪 夏休みになった。 晴くんの予定をこっそり調べて講習のない空き時間が重なるように予定を組んだ。 いろいろと忙しいだろうけど、少しでも一緒にいたい。 今日はアイスコーヒーでご機嫌を伺う。 「晴くん、休憩しようよ」 「ん?もうちょっと…」 さすが、集中してる。 晴くんは英語のテキストを広げていた。 「先にリビングに行ってるよ」 邪魔にならないように配慮する。 「ん、分かった」 晴くんに声をかけ、先にリビングで休憩した。 (一緒にどこか出掛けたいなぁ) (夏といえばプール…) (でも混んでるよなぁ) 氷が熱でゆるんで、カランと鳴った。 side晴海 英語のテキストを閉じて凪の待つリビングに行く。 「アイスコーヒーありがとう」 「お疲れ」 「疲れるほどやってないよ」 ストローを咥える。 ちゅう、と吸えばコーヒーの香りが鼻から抜ける。 (あ、いい匂い) 「このコーヒー美味しい」 「お中元から拝借したからね」 「父さん、コーヒー飲まないのに」 「だからいいんだよ」 俺たちで飲めるだろ、と凪が笑って言った。 こういう自由な所、さすが凪。 いつまでこんな風に二人で笑っていられるのかな…。

ともだちにシェアしよう!