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第61話

side凪 「晴くん…ありがとう。それからゴメン」 俯いていた晴くんが顔を上げた。 「俺も晴くんの事、大好きだから」 「凪…」 晴くん、目が赤い。 抱き締めたいよ、俺でいいなら。 でも…。 「橋本のことはもう言わないから」 「え?」 「とやかく言わないから、安心して」 これが俺が晴くんに言える精一杯。 side晴海 「凪…その…」 (どうしよう、言わない方がいいのかな…) 「えっと…た…拓己くんと…」 「拓己?」 「うん、仲良くね」 ああ、やっぱりダメだ。 凪の顔が見られない。 「ちょっと!晴くん!」 凪に左腕を取られた。 「泣いてるの?」 僕の頬を水滴が伝った。 「あ、、あれ?何で…だろ…」 右手で頬を拭うがその腕も凪に取られた。 急に目の前が陰り、僕は凪に抱き締められた。 「もう隠せない」 凪の腕から出られない。 「俺は…晴くんが好きなんだよ…」

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